4月上旬のとある日。
アオがぼそりとつぶやいた。
「…ねえ、検査結果、こないよねえ…そろそろ2ヶ月になるんですけど。」
そう、例のカンザスへ送られたはずの血液検査の結果。
半月経ち、一ヶ月経ち、ついに2ヶ月が経過してしまっていたというのに、二人ともなんとなくその話題を口にだすことがはばかられていた。
なぜか。
そんなことわかりきったことである。
検査結果について確認を取る…それはすなわち、あのドクター・カドリに連絡を取ることに他ならないからだ。
そもそもこの検査自体、どれくらいの時間がかかるものなのか?
2ヶ月という期間が果たして短いのか長いのか、書類は病院に直接届けられるのかそうでないのか、何一つ定かではないというのに、あのいろんな意味で最強の獣医に『結果来ましたか?』なんて危険な質問をしてもいいものだろうか?
その答えは十中八九『ん〜?なんの話?』に決まっている。
しばらく迷った結果、『とりあえず受付のナースのお姉さんに確認してみよう』ということで落ち着いた。
病院に届いた書類のチェックだけなら、受付がすべてしてくれるからだ。
これならカドリ先生と会話するという危険(…)をおかさずにすむ。
そうと決まればさっそく病院の電話番号をプッシュ!
さーて、今日の受付は誰だろう…
「はい。○○病院ですけどー。御用は?」
こ…このやる気がまったく感じられないかつ電話したことを「すみませんすみません」となぜか詫びてしまいそうになるほど威圧的な声は…!!
この動物病院に10人以上はいるであろう受付ナース衆の中でも、圧倒的に異彩なオーラを放つ存在感。
その激しい口調と攻撃的な仕事っぷりで、毎回小心者のアザラシーズを芯から怯えさせる、神の看護婦(ゴッド・ナース)のサラ様(←アザラシーズ命名)ではありませんか…!
ど…どうしよう…!
「ちょっとー。聞こえてますー?(# ̄□ ̄)」
ハッΣ(@□@)動揺してる場合じゃなかった。
ちゃ…ちゃんと説明しなくちゃ…(泣)
「あ、あの、血液検査の結果が来たかどうか、確認してもらいたいんですけど…」
「血液検査ぁ?いつの?」
「に…2ヶ月前です…」
「はあ?2ヶ月前?そんなのとっくに来てるでしょ?」
「い…いえあの、それが特殊な検査だったので、そちらからカンザスに送ってもらったはずなんですけど…」
「カンザスぅ?!なにそれ?よくわかんないわ。」
「
で、ですから…」
「
あ、ちょっと待ってて。キャッチだわ。(ブチ。)」
「う…あ…はい…」
もうここまでで冷や汗ダラダラである。
誤解のないように言っておくが、サラ嬢は別に不機嫌でもやる気がないわけでも客が気に入らないわけでもない。
彼女は並みいるナースの中でもたいへん仕事のできる、カナダ人としては貴重な頼もしいお方。
しかも色白の肌にブロンド&グリーン・アイというとってもキュートな出で立ちである。
ただ。
そう、ただ彼女は何ごとにおいても非常に攻撃的なのである。
口調だけの問題ではなく、その声の大きさ、その仕草、その視線で、すべてのもの(特にアザラシーズ)を威圧する。
彼女のあの鋭い眼光におびえない人間がいたとしたら、それは生物としての危機管理能力が劣っていると断言せざるをえない。
サラ嬢が周囲を威嚇しているつもりなどまったくないことはわかっている。
彼女はそもそもそういうキャラなのだ。 しかしわかっていても怖いものはどうしようもない。
人の世界にだって食うものと食われるもの(?)が存在するのだ。
電話越しにもその殺人的な「眼光ビーム」が伝わってきそうな雰囲気の中、頭の中で必死に検査の概要説明の練習をするアオ。
えっと、まずは猫を日本に連れて帰るって言って、それから検疫の仕組みをちょっと説明して、それから…
「(ブチ。)もしもし?聞こえます?」
「あ!あのですね、猫を日本に連れて帰る予定で…」
「よくわかんないから、医者に電話させるわ。担当、だれ?」
「う…カ…」
「か?か、なに?(# ̄□ ̄)」
「カ…カドリ先生…です…」
「あっそ。それじゃドクター・カドリが電話するから。(ブチ。)」
で…電話した意味、これじゃなかったか…も… _| ̄|○ |||
つづく。
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山猫兄弟
アザラシーズ(アカ&アオ)












